2019年10月13日

HyperDeck Studio Mini 使用レビュー

Blackmagic DesignのHyperDeck Studio Miniを買ったのでレビューします。
※このブログ記事では、HyperDeck Studio Mini の事を、HDSMと記載します。

mini.png

【HyperDeck Studio Mini】
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電源スイッチはありません。私的にはうっかり押されてしまうトラブルを避けられるので無くていいです。

電源コードは付属していませんが、付属していても不便な長さだったり、温度や経年劣化で固くなったりするヘボいものだったりするよりはずっとマシなので、この方針については賛成です。

入力信号が無いと、HDMI OUTやSDI OUTには何も出力されません。(接続先の2Kモニタには非対応解像度である旨が表示されますので、何かが出ているのかもしれませんが)

SDカードスロットが2つ装備されていますが、2枚のSDカードに同じデータを同時に記録する事は出来ません。リレー記録のみです。
もしSDカードが記録中に壊れた場合は、諦めるしかありません。
ウチの場合、業務収録を行う場合は、他に別途違うレコーダーをもう1台用意して、デュアル収録をしています。

HDMI OUTやSDI OUTから出力される信号は、SDI INに入力されている映像信号がスルーアウトされるか、録画したデータを再生した時にその映像が出力されるだけです。本体内蔵のLCDモニタと同じものが表示される訳ではありません。また、HDMI OUTの出力解像度設定は出来ませんのでオート固定ですね。

電源を入れて15秒位の間は、HDMI OUTやSDI OUTからの出力信号が安定せず、何度か寸断する事があります。焦らず待ちましょう。

録画中、録画可能残時間を知るためのUIはありませんが、数秒ごとに本体内蔵LCDの右上に、記録中のスロット名と交互表示されます。
録画していない時(録画待機状態)に、録画可能残時間を知る方法はありません。

録画可能残時間は、9時間59分59秒までしか表示されません。それを越える場合は、9時間59分59秒の固定表示になります。

認識可能なSDXCカードの容量限界は設けられてはいない様です。とりあえず手元にあった512GBのSDXCカード(Lexar 633x)は正常認識しました。(ただ、このカードは書き込み速度が遅いので結局使えませんでしたが)

本体内蔵LCDはTN液晶系で、視野角に弱く、特に上下方向で斜めから見ると色が大分変わります。

・ボタン類は、そこそこの押し込み強さがあるので、ちょっと軽く手や紙があたった程度で、押されて録画が止まってしまったなどという事は無いと思います。

・電源を入れると割とすぐに本体内蔵のファンが回り出します。割と大きめな音がしますので、静かな現場でマイクから3m位しか離れていなくて、なおかつそのマイクが全指向性タイプだったりする時には、このファンの音がマイクに目立って集音されると思います。
「サーッ」という高域音ではなく「ウィ〜ン」という中高域が目立つファン音です。

ツールとマニュアルは付属のSDHCカード(4GB)に入っているのですが、このSDHCカードが何故かなかなかPCで認識しませんでした。差し込んで暫く放置してたら認識したので、温度が上がらないと認識しないヘボカードを使っているのかもしれません。
まぁ付属SDHCカードに入っているものを使うよりもWebから最新版をダウンロードした方がいいですね。マニュアルの記載ミスも修正されてますし。

・録画中に、SDIケーブルが抜けたり等で、何も映像信号が入力されなくなっても録画は続行されます。再びケーブルを接続して、映像信号が入力されれば、その映像が認識されて録画され続けます。
但し、録画中とは違う解像度の信号が入力されると録画は勝手に停止します。


録画が勝手に停止するタイミングは違う解像度の信号で正常にリンクした時なので、入力映像信号が多少乱れたりした程度では録画は止まりません。
また、EDIDのネゴシエーションが行われた時にも録画は停止しますが、固定解像度で出力されているデバイスであればEDIDネゴシエーションは発生しないので、録画は止まりません。

例えば、ノートPCからの出力信号を抜き差しした場合はEDIDネゴシエーション処理が発生して録画が止まりますが、固定解像度出力に設定してあるビデオカメラからの信号を抜き差ししても、EDIDネゴシエーション処理は発生しないので録画は止まりません。

そもそもHDSMはSDI入力しか出来ないので、ノートPCの信号を接続するなら間にSDIにする変換器を挟む必要がある訳で。
その変換器をスケーラー機能があるタイプ(Roland VC-1-SCやVideoPro VPC-HS3等)のものにしておけば繋ぎ変えても録画は止まりません。(実験済み)
スケーラー機能が無いタイプ(Roland VC-1-DL,VC-1-HSやVideoPro VPC-HS2STD等)は、出力を固定解像度に出来ないので繋ぎ変えるとEDIDネゴシエーションが発生して録画が停止するか、停止しなかったとしても録画データが駄目になってしまう可能性が結構高いです。また一旦そういった状態になると、見た目には正常動作している様に見えていても、電源Off/Onをしないと正常動作へ復旧しません。(これも実験済み)

尚、この問題はあくまで「録画中に」やった事が原因でおかしくなるというものなので、録画していない時は、ケーブルを抜き差しされても、入力解像度が変わっても、不安定な状態になってしまう事はありません。
逆に言うと、同じ解像度の抜き差しであってもEDIDネゴシエーションが発生した場合は、録画が停止したり、システムが不安定になって録画データが壊れたりする事があります。その為、HDSMの手前にスケーラーやスイッチャーを接続して固定解像度にするのは必須となります。

・録画中にSDカードを抜いたり、電源を落としても殆どの場合、録画中のデータは消えません。
エラーが発生してシステムが不安定になっている状態でなければ、まず大丈夫です。
エラー以外のそういった不慮のトラブルが発生する数秒前まで録画されているファイルがちゃんと記録されています。
それをメディアプレイヤーや動画編集ソフトにインポートすると問題なく認識されます。

試してみた所、ProResHQ(mov)では約5秒単位ごと、H.264 Low(mp4)では約2秒単位ごとに、追記録される仕組みな様です。
私的には、物理的に録画停止ボタンが押されない限り、入力解像度が変わって勝手に録画が停止しても、接続された別の解像度で録画を自動的に開始して欲しいです。
あと欲を言うと、録画停止ボタンを押した時に、本当に停止するかどうかを確認してくるUIになっていて欲しいです。

とは言え、映像信号が不安定になったり、映像ケーブルや電源が抜けたりしても、録画データは無事というのはとてもありがたいです。私が知っている限り、HDSM以外のレコーダーは、その様なトラブルが発生すると、データが消えたり壊れたりするので。
この収録データシステムの堅牢さだけでもHDSMを買って良かったと思えます。と言うか、この為だけに買ったと言っても過言では無いです。

ProRes(mov)以外にもH.264(mp4)でも録画出来ます。設定は3段階あって、High:70Mbps Medium:46Mbps Low:13Mbps です。
因みに、アイオーデータのGV-HDRECで最高画質で収録した時のビットレートは約12Mbps位で、AverMedia ER130では約20Mbpsですから、それと同等でOKという事であればMedium設定で収録すれば良さそうです。

尚、音声は24bit Liner PCMで記録されますが、H.264では記録形式の行儀が悪いらしく、メディアプレイヤー(ex:MPC-HCなど)では音声が正常に再生されません。(MPC-HCではザーッというノイズになります)TMPGEnc系ツールでは正常に認識再生出来ます。TMPGEnc MPEG Smart Renderer 5を通すとMPC-HCでも正常に音が再生されるファイルになります。

記録されるファイルは一定の時間(約1時間33分位)で分割記録されます。
分割記録されたH.264(mp4)ファイルは、TMPGEnc MPEG Smart Renderer 5(以降、TMSR5と記載)で結合出来ますが、ProRes(mov)ファイルはTMSR5が対応していないので結合出来ません。

また、Blackmagic Designが配布しているWindows版のDaVinci Resolve 16もProResに非対応なのでProResファイルは非エンコード結合出来ません。
DaVinci Resolve 16では、H.264(mp4)も非エンコード結合出来ません。
つまり、どのファイル形式であっても、WindowsではDaVinci Resolveを使って分割されたファイルを非エンコード結合する事は出来ません。(サポートに確認済み)


WindowsPCの人でProRes系を使いたい人は、非エンコード結合は諦めて、分割されたファイルのまま扱うしかないです。
ここで、Appleの事についてディスり始めると長くなるので、溜飲は抑える事にしときます。(笑)

ビデオカメラ等で分割記録された動画ファイルをTMSR5にインポートして結合すると、結合部分でドロップフレームや音飛びが発生する事がよくあるのですが、HDSMで記録されたデータ(mp4)は、結合してもそういった症状は発生しませんでした。おそらく、そういった症状が出ない様に、キリの良い所で分割されているのでしょう。

TMSR5では通常、インデックスファイルを読み込ませれば高速で問題無く綺麗に結合出来るのですが、HDSMにはそういったインデックスファイルを生成する機能はありません。
TMSR5を使ってインデックスファイルを参照しない方法で結合すると、インデックスファイルを参照して結合した場合と比べて、ちょっと処理速度が遅いので、あまり嬉しくは無いですね。
でもまぁ多少処理に時間がかかっても、ちゃんと結合出来るのでとりあえずはそれで満足する事にします。
と言うか、何で分割記録する仕様なんでしょうかね。折角、exFATなのに。

録画中に録画LED(赤)が高速点滅すると、書き込み速度が不足しているという事になるのですが、書き込み速度が十分に足りているSDXCカードを使っても、録画を開始して数十分経過すると高速点滅が発生する事が結構あります。
一旦この症状が発生すると、SDXCカードを抜くか、電源を落とさない限り、復帰出来なくなる事があります。

また、そういった手段をとると、SDXCカードの記録内容が完全に壊れて、全て読み込めなくなる場合もあります。
高速点滅が発生しても、録画時間のカウントアップが進むので、記録されているかの様に見えますが、大抵の場合は高速点滅が発生した時点までのデータしか記録されていません。
高速点滅が発生したら速攻諦めて録画を停止するか、停止出来なければ電源Off/Onしましょう。

尚、一旦高速点滅状態になったら、何らかのモード変更操作を行わないと、エラー状態がクリアされない事が結構あります。
例えば、H.264 Lowで高速点滅状態になったら、停止ボタン→再生ボタン→録音ボタン という感じに動作モード変更操作をしないと、エラー状態がクリアされず、再度録画ボタンを押しても最初から高速点滅状態になってしまいます。

因みに、マニュアルには低ビットレートだと遅いメモリカードでも記録出来る場合があると記載されていますが、低いビットレートだから負荷が低いとは限りません。むしろビットレートが低い=圧縮率が高い という事になる為、処理が重くなり、その影響で書き込みに使える処理時間が不足して、書き込み速度不足エラーとなる場合もあります。

なので、一番低いビットレート設定(H.264 Low)で駄目だったとしても、他のビットレートならエラーにならない場合もあります。色々と試してみると良いと思います。
ただ、あまりギリギリの書き込み速度のメモリカードを使っていると、入力映像の変化が大きい時に、やはり圧縮負荷が高まって、その結果書き込み速度不足エラーとなってしまいますので、やはり多少は書き込み速度に余裕のあるメモリカードを使う方が良いと思います。

因みに、Lexar 2000xやSONY SF-GのSDXCカードであれば、どのコーデック設定でも書き込み速度不足エラーは発生しませんでした。
とにかく、HDSMは書き込みのビットレートが低めだろうが高めだろうが、かなりハイエンドタイプのSDXCカードを使わないと、書き込み速度不足エラーがやたらと発生する様です。

私が試した限りでは、Lexar 633x,Lexar 1000x,Lexar 1667x は、どの様なデータレートであっても安定した書き込みは行なえませんでした。
あと、SanDiskの256GB(R:170MB/s W:90MB/s)でも安定した書き込みは行なえませんでした。Lexar 1667x程エラー頻度は高くないですが、長時間収録してると、やはり書き込み速度不足エラーが発生します。

その割には何故か、SanDisk microSDXC(+SDカードアダプタ) 200GB(R:100MB/s W:17MB/s)で試したら、Proxy LT以下の設定なら安定して記録する事が出来ました。

これらの事から、書き込み速度エラーの要因となるのは、単に書き込み速度だけの問題ではないという事が分かります。

あと、ProGrade Gold(R:250MB/s W:130MB/s)も試してみましたが、これも駄目でした。
とにかく全ての設定で安定した書き込みを行うには、書き込み速度が300MB/s近く出せるカードじゃないと駄目な様です。

なんか色々書いてて分かりにくい様な気がしてきたので、表にしてみました。

hdsmカードリスト3.png

一番下に記載してある東芝のカードは、Blackmagic Designにて安定した記録が出来る事を確認済みのカードです。

【256GB SDXCカード 東芝 EXCERIA PRO N502】
https://amzn.to/33SVkBz

容量が256GBあって、書き込み速度が、300MB/s近いSDXCカードって高いんですよね。
ProGrade Cobalt東芝のと同じ位高価ですし。

【ProGrade Digital SDXC UHS-II V90】
https://amzn.to/2MkrqA5

ブランドとしては微妙な香りがするJNHのカードですが、これを使って、ProRes系とH.264系で容量いっぱいまで記録テストを行った所、問題無く安定書き込み出来ました。

【SDXCカード 256GB JNH UHS-II V90】
https://amzn.to/2VLhUZU

値段も安価で、今の所何も問題は無いので私の様にコストを抑えたい人にはJNHのカードはお勧めですね。

私的にコーデックに関しては、高画質で収録したい時だけは、ProRes LTを使って、そうではない普段使いの時は、汎用性が高くて画質もそこそこ良いH.264 Highを使うと思います。
因みに、256GBのSDXCカードだと、ProRes LT(4:2:2)は2時間41分、H.264 High(4:2:0)だと7時間41分位収録出来ます。
最高画質で収録するなら、ProRes HQですが、256GBだと1時間15分しか収録出来ないので、自分の場合はあまり実用的ではないです。編集する際にコピーするのにも時間がかかりますし。

そんな訳で色々と書きましたが、もし「HDSMはお勧めか?」と問われたら、
「現状は他にマトモな収録器の選択肢が無いので、HDSMを買うしか無い」と回答します。

アイオーデータのGV-HDRECは、最高画質(1080p)で収録しているとよくフリーズするし音も悪いし。

それに、HDSM以外の民生レコーダーはデータ記録システムがヤワなものばかりで、何かあるとすぐに録画が勝手に止まったり、データが壊れたり消えたりするので。

Macの人はProResでハマる事は無いので、値段分の価値はあると思いますが、Windowsの人はProResでハマる可能性があるので、値段分の価値があるとはちょっと言い難いですね。
Avid DNxHD,DNxHRでも記録出来ますが、Avidから配布されているWindows版のコーデックをインストールしても、TMPGEnc Video Mastering Works 7では読み込めなかったので、ProResよりも更に使えなくてハマります。

私的には、ProResに非対応でH.264収録のみでもいいので、HDMI入力端子とオーディオライン入力端子があって、記録方式が堅牢で、値段がもっと安いもの(内蔵モニタ無しで3万円台位)が出てくれると嬉しいんですけども。

【追記】
タイムコードが入っている信号を収録中に、タイムコードが入っていない信号に差し替えると、解像度等が同じであれば録画は止まらずに続行されますが、録画を止めてSDXCカードに記録されているファイルを確認すると、差し替えた以降の映像データは記録されていません。(音は記録されています)
また、この状態を発生させると、電源をOff/Onしない限り、以降の映像記録は一切正常に行われません。本体内蔵LCDにはプレビューも録画状態も正常に行われている様に表示されるのですが、記録データは不正なものになりますので注意が必要です。
posted by dtmz at 11:15| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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