2020年04月13日

HyperDeck Studio Miniの新ファームウェアレビュー

HyperDeck Studio Mini(以降、HDSMと省略記載)のファームウェアがアップデート(HyperDeck 7.1)されました。

h.png

【公式サイト(英語)】
https://bit.ly/3ee3fPM

【PRONEWS(日本語)】
https://bit.ly/3ed8sr5

アップデートされた内容は・・・

@ インターレースでの記録
A AACオーディオでの記録
B telnet接続操作
C 3時間以上の収録サポート


という感じなのですが、Cの「3時間以上の収録サポート」というのが最も重要で。

何故なら、これまでHDSMはどの様なコーデックで記録していても、必ず1時間33分位で分割記録されていたからです。
その為、約1時間33分以上の収録をした際には、わざわざ何らかの結合ツールを使って結合しなければなりませんでした。

WindowsならTMPGEnc MPEG Smart Renderer 5で結合可能ですが、サイズが大きいという事もあり、この結合作業は実に無駄な時間となっていました。

「3時間以上の収録サポート」となっていますが、実際の所何時間まで記録出来るのか?というのは気になる所です。

また、これまでHDSMは長時間記録する為に使用出来るSDXCカードが非常に限られていました。
具体的には、書き込み速度が、200MByte/s以上のスペックのものしか使えません。

この問題は本当に酷いもので長らくHDSMは「詐欺商品」の様な状態だったのです。

これまで、安定して記録出来るSDXCカードはこんな感じだったのです。

ss1.png

・・・もうね。壊滅的ですよホント。
100歩譲って、ProRes系が駄目ならまだしも、何で圧倒的にビットレートが低いH.264でも書き込み速度エラーになるのか。まじ卍ですよ。

で、今回のファームアップデートでどの様に変わったかを調べてみた結果が以下の通りです。
(1回の記録操作でカードのサイズいっぱいまでエラーを発生しないで安定収録出来るかどうか?)

ss2.png

・・・どうでしょうか。だいぶ(いやかなり)マシになったと思います。
と言うか、これまで詐欺商品レベルだったものが、ようやっと世間の常識的な仕様レベルになったという感じです。

H.264で記録するだけなら、かなり安価なカードでも長時間収録出来ます。

ただ、ProResで記録したりするのであれば、やはりそこそこ早いカードが必要です。
それでも、書き込み速度が120MByte/s以上もあれば最上位のProResHQの安定記録が出来るので、相当マシになっています。

知っての通り、書き込み速度が120MByte/sクラスのSDXCカードと、250MByte/sクラスのSDXCカードとでは値段が3〜7倍以上も違います。

今回のアップデートで、ハイエンドで高価なSDXCカードを使わなくて良くなったので、運用コストが飛躍的にマシになりました。

Blackmagic DesignのCEOが、
「新しい製品を発表するのと同じレベルの機能が追加されます!」
なんてドヤ顔で語っている様ですが、これまでが詐欺商品レベルだったので、この程度のアップデートは当然だと思う次第です。
だいたい発売から既に3年も経っている訳で、正直「遅すぎ!」と思わざるを得ない気持ちが大きいです。

さて、使えるカードの選択肢が広がったという事が分かった所で、次はどれくらい分割されずに1つのファイルとして記録出来るのかを調べてみました。

結果は以下の通りです。

b.png

ビットレートが低めのコーデック(DNxHD 45 QTやH.264)では、4〜5時間位で分割記録されました。
ビットレートが高めのコーデック(DNxHD 145 QTやProRes422以上)でも、多分同じ位の時間で分割されるのだと思いますが、それを調べる為には、512GBや1TBの超高速SDXCカードが必要になるので(そんなに大容量で超高速のものは売ってないので)現状調べる事は出来ません)

これまでは、1時間33分位で分割記録されていたので、これもだいぶマシになりました。というかやっと世間の常識レベルに近づきました。(アイオーデータのGV-HDRECやAVerMediaのER130ならもっと大きなサイズでも必ず1ファイルで記録されます)

さて、オーディオがAACに対応しましたが、ここでバグに遭遇しました。

設定されている状態を見ている画面では「2 Channels(AAC)」と表示されているのに、設定モードに入ると「2 Channels」が設定されている事がありました。

a1.png

a2.png

どうやら、映像の記録コーデックを変更操作したりしていると、オーディオの設定がおかしくなる事がある様です。

この他にも「2 Channels」に設定していたのに(映像の)コーデックを変更すると、勝手に「16 Channels」に設定が変わってしまう事もありました。

そんなバグバグな状態なので、記録コーデックを変更操作した場合には、必ずオーディオの設定も(見た目には正しく設定されている様に見えていても)設定操作をやり直した方が良いと思います。

あと、今回のアップデートを色々試していたら、通常、書き込み処理に問題があった時は、エラー状態(録音ボタンが高速点滅)になりますが、書き込み処理に問題があってもエラー状態にならず、そのまま書き込み時間はカウントアップを続けていて、残り記録時間だけが減っていかない。というこれまた酷い状態に陥った事がありました。
その状態で記録を止めて、SDカードをPCで読み込ませようとしても、最初の方しか記録されていなかったり、ファイルが完全に読めなかったりします。

これまで、こういった致命的なステルスエラーみたいな状態が発生した事は無かったので、これも今回のアップデートで新たに発生しているバグだと思います。

この不具合ですが、「Lexar 1000x」でのみ発生しています。他のカードでは発生していません。
まぁいわゆる相性問題というものだと思います。

何にせよ、現状安心して使うのであれば「Lexar 1000x」以外のカード(SONY SF-E等)を使うのが良いと思います。

【SONY SF-E 公式サイト】
https://www.sony.jp/rec-media/products/SF-E/

【SONY SF-E SDXCカード(Amazon)】
https://amzn.to/2VkrIuc

最後に、AAC対応についてです。
これまでオーディオは、Linear PCM(24bit 48kHz)のみの記録でしたが、記録したファイルをMPC-HCなどのメディアプレイヤーで再生すると「サーッ」というノイズが再生されていました。(動画編集ソフトで読み込んだ際には問題ありません)

新しいファームウェアでも、この不具合は治っていないのですが、オーディオのコーデックを、AACにして収録をすると、MPC-HCでも問題なく音声が再生されます。

因みに、AAC記録は、VBR(平均128kbps 最大576kbps)で行われます。
平均ビットレートが128kbpsなので、やや不満が無くはないですが、バックアップ的な収録用途であれば十分な音質だと思います。単純比較は出来ませんが、AAC 128kbpsは、mp3 160kbps位の音質はあります。

映像の記録サイズと比較したら、音声のサイズなんて僅かですから、よほど容量を切り詰めたいという時以外は、これまで通り、Linear PCMで記録すれば良い気がします。

そんな訳で、相変わらず使うのに妙なコツというか、無駄に配慮が必要なデバイスではありますが、それでも今回のアップデートで良くなった(マシになった)部分は大きいと思います。

【HyperDeck Studio Mini(Amazon)】
https://amzn.to/34s82IZ

そんな訳でまた次回!
posted by dtmz at 03:39| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月29日

KanaaN HDMIスプリッター 2020年版レビュー

一部では有名な(笑)LEICKE KanaaNのHDMIスプリッター(Splitter)が新しくなっていたので買ってみました。

kanan2020.png

【KanaaN HDMIスプリッター 1入力2出力 2020年版(Amazon)】
https://amzn.to/2WSsnVS

【公式サイト】
http://www.leicke.eu/ja/products/KN39750

現状、Amazonにて販売されているのは、2019年版と2020年版で、2019年版は10%クーポンが使えますが、2020年版の方は200円位売値が高くてクーポンは使えません。
つまり、2020年版の方が、500円弱位割高です。

2019年版も2020年版も本体デザインは全く一緒で、見た目には見分けがつきません。
Amazonの写真では、2020年版は端子部の枠線が無いものになっていますが、現物はそんな事はありません。2020年版も枠線はあります。

2019年版と2020年版の最も大きな違いは、EDIDネゴシエーションにかかる時間です。

例えば、HDMIケーブルが全て接続してある状態で、ACアダプタを接続した際に、EDIDネゴシエーションが完了して映像が映るまでにかかる時間は・・・

2019年版:6秒〜6.5秒
2020年版:3秒〜3.5秒

という感じなので、2020年版の方が2倍位早いです。

ただまぁ実際の所、業務現場では早々に電源は入れっぱなしにしますし、電源がオンになってから映像が出力されるまでの時間はあまり重要では無い気もします。

その他、HDMI INを抜き差ししたり、HDMI OUTを抜き差ししたりした時に、映像が正常に出力されるまでの時間は、どちらもほぼ一緒でした。

ただ、2019年版は、抜き差しを頻繁にしていると、稀にHDMI信号が出力されなくなる事があり、その場合は電源を入れ直さないと復帰しません。

また、2019年版は、映像が出力され始めた時に、なぜか一瞬(0.5〜1秒位)寸断(ブラックアウト)する事がありましたが、2020年版ではこの不具合は発生しません。

あと、今回購入した2020年版は、付属のACアダプタ(5V 1A)が昔付属していたものよりマシなものになっていました。

kananac.png

1年位前に購入した時は、隣のAC端子が使えなくなる位の大きさがあって、DCケーブルも70cm位しかありませんでしたが、現在付属しているものは、隣のAC端子を塞がない小型のもので、DCケーブルは1.5mありますので使い勝手は悪くは無いです。
Amazonでは、2019年版に新しい方のACアダプタの写真が載っているので、この違いは2019年版と2020年版の違いという訳では無さそうです。

因みに私は付属のACアダプタは使わないで、秋月で売っているACアダプタ(5V 2A DCケーブル155cm)を使っていますが、それと比べると付属品の方がDCケーブルが結構柔らかいので、断線しやすいかもしれません。

【超小型スイッチングACアダプター 5V 2A】
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gM-01801/

そんな訳で、普通の人がご家庭で使うぶんには、2019年版の方が安くて付属ACアダプタも新しくなっていて、良い買い物なのではないかと思います。
業務現場で使う様な、少しでも安定しいて動作の早いものが良いという場合は、2020年版の方がベターだと思います。

あ、HDCP関連の挙動は、2019年版も2020年版も同じですよ(笑)

ではまた次回!
posted by dtmz at 20:40| Comment(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月12日

datavideo DAC-91 レビュー

今回は、ちょっと前に購入したdatavideo(データービデオ)から発売されている、SDIオーディオエンベデッター「DAC-91」をレビューします。
これは、SDI信号にオーディオをエンベデットするというシロモノです。

【SDIオーディオエンベデッタ DAC-91】

・公式ページ
http://www.datavideo.jp/audio/dac_91.html
・Amazon
https://amzn.to/2Q7RPmb

dac-91_front.jpg

アンバランス入力(RCA)かバランス入力(ミニXLR)でオーディオ信号をエンベデット(埋め込む)事が出来ます。

dac-91_rear.jpg

入力音量ゲインは6dB単位で調整出来ます。
6dB単位って、実用上凄く困る程ではありませんが、結構ざっくりした単位なので、細かい調整は出来ないと思っていた方が良いです。

バランス入力はミニXLRコネクタです。別名TA3Fコネクタです。
一応、ミニXLRコネクタとXLRコネクタの変換ケーブルが2本付属していますが短いですし、いちいち変換を挟まないといけないのが面倒なので、私は2mのケーブルを自作しました。

・TA3Fコネクタ(オヤイデ電気)
https://oyaide.com/catalog/products/p-2898.html

・マイクケーブル L-4E5C(トモカ電気)
http://tomoca-shop.jp/shopdetail/005014000009/

minixlr_t3f.png

普通のサイズのXLRケーブルは2番HOTが主流ですが、このミニXLRケーブルは3番がHOTです。1番はGNDで2番がCOLDになっています。
あまり一般には売られていないケーブルなので、好きな長さのケーブルが欲しい場合は、自作した方が早いと思います。
ただ、ミニXLRコネクタはサイズが小さい為、はんだ付けがちょっと面倒です。
この面倒臭さを体験してしまうと、ミニXLRコネクタが流行らない理由が分かりますね。

本体には入力音量のレベルメーターLEDがついていて多少便利ではありますが、一番上の赤LEDは-7dBを越えた時点で点灯する仕様になっているので、コンプやリミッター等で0dB近くまで音圧を頑張って上げた様な信号を入力した場合は、この赤LEDは殆ど点灯しっぱなしになります。
赤LEDの点灯=ピークオーバーで歪んでいる という事にはならない為、歪んでいるかどうかの判別用途としては使えません。
・・・何でこんな仕様にしたんだか激しく謎です。

とまぁ多少仕様に難があっても目的はオーディオのエンベデットにある訳なので、それが問題なく出来れば良かったのですが・・・
いや、エンベデット自体は問題無く出来るんですよ。
ただ・・・定常ノイズがちょっと・・・いや、凄く・・・酷いです。

ノイズの音量自体はそんなに大きくは無いのですが、ノイズの種類が酷いです。
普通、こういったデバイスの定常ノイズは「サーッ」という変化の無いホワイトノイズですが、DAC-91の定常ノイズは「ザーッ、ザザッ、ザザザッ」という変化しまくるタイプのものです。
言葉で表現しても分かりにくいと思うので、実際にRoland VC-1-SHの定常ノイズと比較してみます。

分かりやすい様に音量を結構上げてありますので、聞く際には注意してください。

・Roland VC-1-SHの定常ノイズ
VC-1-SH.wav

・DAC-91の定常ノイズ
DAC-91.wav

・・・とまぁこういうノイズな訳です。
聞いてもらえば分かるかと思いますが、DAC-91のノイズは耳で聞いた時にかなり気になるタイプのノイズになっています。

イベント会場のスピーカーから鳴らすのであれば、環境ノイズと混ざって気づきにくくなりますが、ネット中継や収録等、静かな環境下で聞く事が想定される用途となると、このノイズはだいぶ気になります。

そんな訳で、私的にDAC-91は「アウトーッ!」となったのでした。
DAC-91だったらRoland VC-1-SHの方が良いです。

そもそも何で、VC-1-SHにしないでDAC-91にしたのかと言うと、VC-1-SHは以前に現場で故障した事があったからです。

結局、このノイズが酷いDAC-91はお蔵入りにして、VC-1-SHを買い直して現在に至るのですが、今の所VC-1-SHは故障していませんので、現行ロットは故障対策が施されているのか、故障した個体はたまたまだったのか、真相は謎です。

datavideoの製品は、DAC-70が秀逸なデキだったので結構信用していたのですが、このDAC-91のノイズ問題でだいぶ信用が下がりました。

中華メーカーの激安品ならまだしも、主に業務用デバイスを作っているdatavideoがこの様な品質のもので良いと思っているのは悪い意味で意外でした。

そんな訳で、datavideo DAC-91はお勧めしません!
SDIにオーディオをエンベデットするなら、VC-1-SHやVC-1-SCやVC-1-DLを使った方が良いです。

・Roland VC-1-SH
・公式ページ
https://proav.roland.com/jp/products/vc-1-sh/
・Amazon
https://amzn.to/2wRadsx

・Roland VC-1-SC
・公式ページ
https://proav.roland.com/jp/products/vc-1-sc/
・Amazon
https://amzn.to/33aP4pn

・Roland VC-1-DL
・公式ページ
https://proav.roland.com/jp/products/vc-1-dl/
・Amazon
https://amzn.to/33aP8W9

ではまた次回!
posted by dtmz at 04:49| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする